私たちから見えるIT業界の将来性は、人々の働き方をより柔軟にするものである。

私たちが現代日本で働くうえで、少子高齢化社会の深刻化による労働者不足は大きな課題として挙げられる。それによって引き起こされる問題は、大きく分けて二つある。一つ目は、一人当たりの労働負担が増加することだ。ワークライフバランスが崩れ、産休や育休を取りにくくなり、少子化がさらに加速する。長時間労働による過労死やうつ病を助長する恐れもある。そして二つ目は、税収減により国民の生活を支える社会保障費が不足し、公的サービスの質が低下することである。

そこで昨今注目されているのがITの存在である。ITは労働者不足を補うものとして大きな役割を果たすと考えられている。労働力の補充が可能になることで、そのほかのサービスの向上や人的ミスの防止に繋がる。例えば、飲食店では注文タブレットを用いることにより、オーダーミスを減らせ、配膳ロボットの導入により人手不足を解消できる。こういった人件費などのコストを削減することで、設備投資など生産性の向上が図られ、それに伴い、産休・育休が取りやすくなるといった労働環境の改善が見込まれる。

しかしながら、IT化が促進され、それに対する比重が増大していく中で「IT人材の不足」が新たな課題となっている。現に経済産業省の調査によって、2030年にはIT人材の不足数が最大で約79万人になるという試算が出されている。

これに対する改善策としては、まずIT教育の見直しが挙げられる。実際、小学校では2020年度から、中学校では2021年度からプログラミング教育が必修化された。企業側もIT人材の採用より「育成」に重点を置くことが求められる。それに加え、IT業界のイメージ改善を図ることで将来のIT人材を増加させる狙いがある。また、海外から高度技能人材を積極的に受け入れることにより、日本全体のIT技術の発展と人材確保を目指す。よって、そのための制度改革や移民受け入れの姿勢を整えることが必要と思われる。

ITの技術を利用して、一人一人が自分に合った働き方を選択できる社会の実現が可能となるだろう。

参照: 経済産業省より(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf)